Focus notes

幸せに生きるためには、戦略的コミュニケーション技術が必要なのです。

人の心がわからないということ

ひさしぶりの更新です。

企業において、働く従業員にモチベーション高く働いて貰うことは、大きな経営課題の一つです。

そして、組織にロイヤリティを持って参画してもらうことは、コンプライアンスの観点からも、非常に重要です。

しかしながら、人の心というのは、なかなか理解し難いものです。

 

虚しく響く社長の声

当社でも、経営者と従業員のコミュニケーションを円滑にすべく、人事部主催のオープンドアが開催されています。

決められた時間にとある会議室(当社には社長室がない)が開放され、社長に質問がある人や、直訴したいこと、直接の上司には言いづらい相談など、なんでも気軽に話をする事が出来ます。

当社の社長は、東大→ダイアモンドとエリート街道をひた走って来た方で、理解力は高く、喋りも理路整然としていてわかりやすい。そんな方です。

ある従業員が、「従業員のロイヤリティを高めるために、どんなことをやっていこうとされていますか?」という質問をしました。

「やはり、公正な評価と明確な給与テーブルが重要だと思うので、目標管理制度の厳格化をやっていきたい」

…………マジか………

いっけん間違ってない大間違い

質問をしたのは、ITのエンジニアでした。彼らのモチベーションの源泉は安定ではなく、挑戦です。

技術力のあるエンジニアは、引く手数多です。30代後半にもなると、転職回数2桁の人間なんて、ゴロゴロいます。

まだ世の中にないサービスを作り上げて、成功したらガッツリ報酬を貰い、次の面白い企画があれば残る。なければ他で探す。

5年後のキャリアプランだって、社内でのキャリアプランではなく、転職も含めたキャリアプランを持っています。

社長の回答は、いっけん正しいのですが、質問されたから答えた。という点で大間違いでした。

なぜその質問が出てきたのか?

本来、その場でやらなければならなかったやりとりは、なぜその場にその質問が出てきたのかを探ることです。

質問に質問で返す訳には行かないのであれば、「みんながワクワクしながら働ける環境を作りたい」みたいな、抽象的な回答をして、「君はどんな職場環境だったら、ワクワクして働ける?」と返すべきでした。

多くの人は、何の考えも無しにわざわざ上席者に質問をしたりしません。

質問をしたときには、何かしらの思いがあって質問をしています。

それを「知りたい」と思うのか、「ややこしい質問はかわしたい」と思うのか。

その違いです。

僕も人の心を詠むのは苦手です。

人の心がわからないからといって、コミュニケーションをこなすのではなく、頭を下げて聞けるような人間になりたいですね。